今年最後の記事は読解問題についてです。中3~高3の生徒さん数人に指導した経験をもとに、わたしなりに重要だと思うことをまとめておきたいので長文になります。
読解は苦手、という生徒さんは少なくありません。それでも、興味を持てる内容や、あまり長くなくて比較的易しい文であれば読める生徒さんもいます。ですから、苦手意識を取り除くためには、ハードルを低くして読みやすい内容・文章から始めるのがよいでしょう。
読解問題に抵抗はないが、なかなか高得点がとれない、という生徒さんもいます。どこでつまづいているのかを調べるために、いくつか実験的な指導を行いました。
まずは、本文が正しく読み取れているかどうかを確認するために、全部和訳してもらいました。これは大変時間のかかる作業ですが、2人の生徒さんにお願いしました。もちろん、辞書は使いません。分からない語句は文脈から意味を推測するか、分からないものとしてそのまま読み進めて(和訳して)もらいました。
2人とも、分からない語句の部分は( )とするか、推測した意味で訳していましたが、全体としては80~90%正しく理解できていましたし、要点も把握できていました。
また、キーワードとなる重要な語句でない場合は、意味が分からなくても正答を選べることが分かりました。ある読解問題は4題ありましたが、そのどれも語句の意味が分からなかったせいで誤答したものはありませんでした。
では、何が問題なのでしょう。本文の内容はほぼ理解できているのに、何故全問正解できないのでしょう。
そこで次に各問題の選択肢(いずれも選択肢は4つあります)を一つずつ訳してもらいました。多少分からない部分もありましたが、こちらもおおよその意味は把握できていました。
実際に問題を解いてもらったところ、誤答した箇所は、正しい選択肢が本文中のどこを指しているのか見つけられないのが原因だと分かりました。つまり、選択肢の文章と、本文中の文章とを結びつけることができなかったのです。
これは、本文中の文章の語彙や表現が選択肢の文には使われておらず、類義表現や言い換えになっていたり、段落のほぼ全体を要約した文になっていたりするためだ、ということも分かりました。
つまり、単純に本文中の語句を含む選択肢が正答だとは言えない出題になっているのです。逆に、選択肢に本文中の語句が含まれていても、本文中に記されていない事柄や情報まで含まれている選択肢は正解ではありません。その点に注意する必要があります。
英検準1級~1級、大学の共通テストの読解問題は、このように一筋縄ではいかないものが多く、厄介です。ですから、本文を正しく理解することはもちろんですが、選択肢一つ一つをしっかり読み取って、それを本文中の該当箇所と結びつけられる力を身に付けることがとても大切になってきます。
今回は抽象的な説明で分かりにくかったかもしれません。次回は、具体例を挙げて、もう少し分かりやすく解説してみたいと思います。
みなさん、良いお年をお迎えください!
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